銘駒図鑑とは

駒の種類

駒材の種類

駒木地の種類
 
書体の種類

プロの駒師

銘駒のススメ




数百万人の将棋ファンがいるといわれています。そのうちどれだけの方々が将棋駒に関心を持たれているのでしょう。将棋自体が面白いのだから将棋駒は何であろうと拘らない。そんな声が聞こえてきそうです。もちろんそれは間違いではありません。

私は「将棋は世界で一番美しいチェス」であると考えています。将棋というゲームのもつ数学的な完成度。その構造が美しいのです。将棋には普及に関する世界戦略がありませんでした。しかし今後は世界への普及が期待されます。

漢字圏以外への普及を考えますと駒の表記は漢字でない方がよい場合もあると思われます。駒の表記がアルファベットであっても将棋の面白さには変わりはありません。また、漢字圏であっても中国などでは日本古来の駒のサイズ、書体、材質などは変えられていくことが予想されます。それでも将棋というゲームのもつ美しさ、面白さに変わりはありません。

それでは何百年と続いた日本の将棋駒の形、大きさ、書体、材質、製作法には価値はないのでしょうか。もちろん高い価値が存在します。日本人のもつ美への感性が、将棋という素晴らしいゲームと、将棋駒という素晴らしい道具(工芸品)を作り出したといえます。

その素晴らしい道具(日本の将棋駒)が、将棋というゲーム単独の楽しさ、素晴らしさにもう一つの大きな魅力を与えています。これは日本の将棋駒(銘駒)を用いない世界の将棋ファンには決して得られない特権といえます。

将棋と将棋駒。将棋はやってみればその魅力がすぐの分かります。やればやるほど、強くなり、さらにその魅力の虜になります。将棋駒の魅力はどうしたら分かっていただけるでしょうか。

多くのよい駒を手に取り、使ってみることが一番ではないかと思います。しかし、それは現実的には難しいことです。その代わりに、手に取り使っていることを想像できる図鑑をご提供します。ですから「銘駒図鑑」は一つの駒に一枚の写真ではありません。

「銘駒図鑑」では、将棋駒の魅力を少しでも多くの方々にお伝えするきっかけになることができればと考える次第です。難しいことは不要です。論より証拠、まず見ていただき、楽しんでいただき、少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。また、それが図鑑たる所以です。

 



銘駒(めいこま)とは何でしょう。

将棋駒のことに違いはありませんが、駒を製作した人(駒師)が自分を示す号(銘)と書体名(銘)を王将と玉将の駒の尻面のそれぞれ(どちらがどちらかは駒師によって異なる)に記した駒を銘駒といいます。一般的にプラスチックの駒には銘は入っていませんので、銘駒とは呼べません。

名工が作った素晴らしい駒という意味で「名駒」という言葉もあります。「銘駒図鑑」には名駒も掲載していますが、そうでない駒も掲載します。どちらにしても銘は必ず入っています。

「銘駒図鑑」では当面の目標として「銘駒百組」を目指します。また、皆様の自慢の銘駒も是非掲載させていただきたい考えです。

「銘駒図鑑」では駒写真への目次に、下のような「玉飛角図」を用いています。



そして、掲載する写真は目次も含めすべて大きめです。JPEG の品質はぎりぎりまで下げていますが、大きな画像をたくさん表示しますので 56k、ISDN 64k ユーザの方には重たいサイトになっております。

また、フレームも使っておりませんのでブラウザによる制限はあまりありませんが、ディスプレイの解像度は 800 x 600 以上を想定しています。快適にブラウズするためには 1024 x 768 以上をおすすめします。



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駒の種類には右図のように大きく分けて四つあります。

書き駒は駒木地に直接漆で文字を書き込んでいきます。下書きなどがないのが通常で熟練が要求されます。現在では漆の書き駒は天童市など以外では入手できないようです。

彫り駒は駒木地の上に字母紙という書体が書き込まれている薄い紙を貼り、その上から印刀で彫っていきます。彫り終わったら、彫った箇所に漆を塗ります。

彫り埋め駒は彫った分を漆で埋めてしまいます。出来上がった駒は一見書いたように見えますが、すり減っても文字が消えることはないわけです。

盛り上げ駒は漆で埋めた上にさらに盛り上げます。最も工程が多く技術的にも難しく、最高級の駒は盛り上げ駒となります。

それぞれの駒にはそれぞれ異なる味わいがあり、彫り駒や彫り埋め駒が盛り上げ駒より常に劣った駒ということではありません。

       
  書き駒
  彫り駒
  彫り埋め駒
  盛り上げ駒
     






将棋の駒はどういう材料でできているかご存じでしょうか。
「プラスチックとその他には木の駒がある」というのが一般の方の認識かもしれません。そうです、駒は木でできています。駒の材料となる木の種類は現在では次の4つが代表的です。

1. シャムツゲ
2. 島ツゲ(御蔵島ツゲ)
3. 薩摩ツゲ
4. 中国ツゲ

ツゲは黄楊とも書きます。

 


1. のシャムツゲは比較的安価な駒に使われます。インドシナ半島でとれるツゲを総称してシャムツゲと呼んでいます。ただし、シャムツゲはツゲ科の木ではありません。
2. の島ツゲは伊豆七
島の一つの御蔵島(みくらしま)でとれるものを島ツゲと呼んでいます。
3. の薩摩ツゲ(さつまつげ)は鹿児島県でとれるツゲです。また、島ツゲと薩摩ツゲを併せて「本ツゲ」と呼んでいます。
4. の中国ツゲはその名の通り中国でとれるツゲです。品質には幅があるようですが、よいものもあり一概に悪いとはいえません。
その他、白檀(びゃくだん)、黒檀(こくたん)、花梨(かりん)などの駒材がありますが、あまり一般的ではありません。






銘駒には主に本ツゲ(島ツゲ、薩摩ツゲ、中国ツゲ)が用いられるわけですが、同じ本ツゲでも駒木地の種類によって全く異なった味わいとなります。「ツゲは木の宝石」ともいわれ下の写真のように美しい木地が数多く存在します。

虎斑はコレクターなら一組は欲しい種類の駒です。根杢も出来によっては正に宝石という他はないというものがあります。また駒木地の種類によって駒を使い込んでいったときに出てくる味わいが異なります。
根杢などの硬い木地の場合は、飴色になり、まるで陶器のような味わいの駒になる場合があります。 赤柾は高価な木地ですが、派手な模様が無いため目に優しく、油分も多く丈夫な駒でプロ棋士に好まれるようです。長く使うと駒全体が赤みを帯びてくることが多いようです。


 


一般的に派手で美しい駒木地が好まれ、そして高価なわけですが、綺麗に柾目が通ったシンプルな駒木地も魅力的です。

プロの対局には、派手な木地のものより柾目、赤柾などの疲れない駒が選ばれます。しかし例外も多く、加藤一二三九段の愛用の駒は美水作(宮松影水未亡人)の使い込まれ美しく赤みを帯びた銀目(杢)の盛り上げ駒です。

下の写真にない種類の木地としては、稲妻(杢)、さざ波(杢)、糸柾、板目などがあります。糸柾は柾目が細かく入った木地でたいへん上品な味わいです。板目はツゲの木から比較的に多くとれる部位の木地で、従って比較的に安価となります。



虎斑

虎斑

赤柾

根杢

根杢


孔雀


柾目


根柾

銀目

代表的な駒木地の種類






将棋駒の書体は数え切れないほどの種類が存在します。

しかし現在、実際に市場に出ている書体の種類はそれほど多くはありません。その中でも最も多くの駒師によって採用されている書体は、下の写真にある「四大書体」です。(玉将のみでは書体の特徴がつかみ切れませんがご容赦ください。今後掲載する多くの写真によってご理解いただけると存じます)

ただし、同一の書体であっても駒師によってかなり違ったものとなります。下の写真の水無瀬書は宮松影水作、それ以外は掬水作です。

錦旗書(きんきしょ)は現代においては最もベーシックな書体で、駒師の間では駒作りは「錦旗に始まり錦旗に終わる」といわれるほど、ベーシックで奥の深い書体といえます。また、錦旗書を作らせれば駒師の力が分かるともいわれます。後水尾天皇の銘をもとに豊島龍山が開発した書体です。
 


水無瀬書(みなせしょ)は16世紀末に作られた水無瀬兼成による漆書きの駒がルーツとされています。個人的には最初は全く興味の無かった水無瀬書が今では一番気がかりな書体です。

巻菱湖書(まきりょうこしょ)は江戸時代の書家「巻菱湖」の書をもとに大正時代になってから豊島龍山の作った駒が始まりです。
大変人気のある書体で、中原誠永世十段の愛好でも有名です。
単に「菱湖」と呼ばれる書体がありますが、同じ書体と考えて差し支えないと思います。

源兵衛清安書(げんべえきよやすしょ)は江戸時代から伝わる古い書体です。詳細は分かっていません。バランスの難しい書体と思います。 ほとんどの駒師が手がける書体ですが、個人的にはなかなかよい作品がない書体のように感じています。

その他の書体としては、宗歩好(そうふごのみ)、清安(きよやす)、清定(きよさだ)、安清(やすきよ)、昇龍(しょうりゅう)、董斎(とうさい)、董仙(とうせん)、英朋(えいほう)、古水無瀬(こみなせ)、守幸(もりゆき)、宝玉(ほうぎょく)、無双(むそう)など、名称だけ挙げましたがその他にも数多くの書体があります。

錦旗書 水無瀬書 巻菱湖書 源兵衛清安書

将棋駒の四大書体






駒作りの専門家を駒師と呼びます。


将棋の駒は駒材の種類、駒の種類、駒木地の種類、書体の種類などによって全く異なるものになることが分かりました。

最後になりましたが、最も駒の出来に関わるのが「駒師」です。つまり誰が作ったかということです。もちろん誰が作ったものであろうと今見ている駒の出来がよければ問題はありません。

あまり一般に評価されない駒師の作品でもとてもよい出来の場合もあります。その逆もあります。それに好みの違いでも評価は異なってきます。ところがたいていは優れた駒師の作品はやはり優れた出来映えなのです。

右の表の駒師はすべて名工とうたわれた人たちです。現在ではもう故人であり駒を依頼することはできません。

それでは現在はどの駒師がよいのか。それは「銘駒図鑑」でご自分の解答を見つけていただきたいと存じます。 現在、天童では多くの名工が活躍しています。代表的な方をご紹介します。


掬水 (本名 桜井和夫)
児玉龍兒 (本名 児玉悌児)
秀峰 (本名 村川邦次郎)
天一 (本名 佐藤松喜)

(アイウエオ順)

 




豊島龍山




奥野一香




木村文俊




金井静山




宮松影水





初代 太郎吉 1862-1940
二代 数次郎 1904-1940
近代将棋駒の祖
豊島字母帳を残した

初代 藤五郎 1866-1921

二代 幸二郎 1899-1939
名人戦で用いられる名人駒は奥野一香作 宗歩好み書。その他、奥野錦旗で有名

1908-1984
木村義雄十四世名人の実弟
木村形といわれる独特の駒形


金井秋男 1904-1991
龍山作の駒を多く作った
書体に忠実な駒師


宮松幹太郎 1928-1972
最高の駒師といわれた天才駒師
43歳という若さで他界



(年表は「駒のささやき」を参照しました)






ようやく「銘駒のススメ」を書くことができます。

ここまでの知識で「銘駒図鑑」の駒写真を鑑賞していただければ、ご自分の好みの駒が分かっていただけるのではないでしょうか。どのような書体が好きか、どのような駒木地が好きか、駒師は誰が好みか、それらは経験によっても変わってくるはずです。


「銘駒図鑑」が充実すれば、見ていただける方の駒に対する感性も充実してくるはずです。 「銘駒図鑑」は皆様に高価な駒を何組も購入することをおススメするものではありません。それは一部のコレクターの方々の役割です。

それでもできることなら本ツゲの銘駒を一組、手に入れられてはいかがでしょう。 高価な駒である必要はありません。ご自分がよいと感じる駒(=よい駒)を一組。

もし将棋の好きな方であるなら、将棋のゲームとしての素晴らしさは駒(道具)に左右されないことはすでに述べましたし、ご理解済みのことと存じます。しかし、「よい駒」で将棋を指し、終わったら磨き、やがて飴色に変わった駒を将棋とともに大切に思う。

将棋駒という日本の伝統工芸によって、将棋のゲームとしての構造的な面白さに加え、 打ちつける感触、駒音、駒の魅せる表情などを楽しむことができます。

突き詰めると 将棋は駒を通じて感覚に実体化されるとみることができ、その場合、優れた銘駒が優れた実体化に役立つことは間違いありません。

すぐには結果を急ぎません。
「銘駒図鑑」は時間をかけて、銘駒を増やしていきます。
多くの銘駒を鑑賞していただき、駒の魅力をご理解いただき、そして想像してください。銘駒が将棋にどれだけ役立つかを。

 



その結果、銘駒が今のように一部の人たちのものでなく、多くの方々に理解され、「一家に一組の銘駒」が所蔵され、家宝として末永く伝えられることを祈ります。

銘駒図鑑管理人 宮田梅水 (みやたばいすい)

大竹竹風作 昇龍書







適当なサイズでご使用ください

 

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