桂山ギャラリーを開設します。本名、水戸常丸(故人)。桂山は、天一、武山とともに天童を代表する彫り師です。
  今回、桂山作の彫り駒12組を一挙に掲載します。桂山の魅力を十分に味わってください。

竜司書
無劍
水無瀬書
 

鵞堂書
清安書
巻菱湖書

  菱湖書
蜀紅
恒圓書
 

源兵衛清安書
源兵衛清安書
関根名人書

桂山作淇洲書


将棋駒 桂山作 竜司書 彫り
桂山ってのは実に面白い。桂山ってのは実に懐が深い。広く深い迫力の彫りを見せたかと思えば、こんどは柔らかい彫りを何気なく見せてくる。 強さと柔らかさが同居しているんですね。
「個性が強くて、人まねじゃない姿がさまになる。ときに迫力の深彫り、ときにタオイスティックな柔らかい彫り。流れるようでも麗美でなく、強いようでも侘びている。それが桂山。」

将棋駒 桂山作 竜司書 彫り
この世に三組のみ存在する桂山作竜司書の彫りだけど、そんなことよりそもそも、この作品のよさが分からないんじゃ話にならない。その前に駒権はお好きですか? あれは凄いですね。あれだけ変わった書体で一見分かりやすいと誰が作ってもそこそこよく見えなきゃおかしいわけですが、そうは行かないわけです。蜀紅や竜司など格好の目標でしょう。でもね、字母紙に正確に彫ったってちょっとのことでゲテモノになる。恐ろしい書体なのです。本作は竜司ですが、王将と玉将を実に上手くまとめました。臭味がまったくありません。飛車角以下は普通に桂山の彫りを施したという感じです。精密なんかじゃありません。ホイホイ彫ってる感じですけど、こんなに上手くまとめるんですね。桂山ってのは。こんな面白い彫り師をなぜ放っておくのか、わたしには納得出来ません。



将棋駒 桂山作 無劍 彫り
迫力の彫りですが何気なさを感じさせてくれるんですね。こちらも上手くまとめています。桂山はやはり感性の優れた彫り師だったのですね。個性を発揮しながら上手くまとめるというのはなかなか出来るもんじゃありません。個性は出してみたんだけどなぁ、でもこれじゃぁなぁってのはよく目にします。わたしは個性を重視します。だから桂山が好きなのです。しかもいつだってまとめる力を見せてくれる。本作は特に金銀以下もしっかり仕事をしています。桂山の得意書体であったのであろうと思われます。桂山作の名品です。



将棋駒 桂山作 水無瀬書 彫り
水無瀬書ですね。木地は島黄楊の赤柾です。本作は桂山が、使う駒として真面目に取り組んだ作と見ます。面取りにも手間をかけており、特に剣先に向かって薄くテーパーがかかっているのは圧巻です。王将と玉将が分かりやすいと思いますが、桂山の個性が明確に出ています。しかし実にまともな水無瀬に仕上がっています。長い愛用に応えてくれる駒だと思います。



将棋駒 桂山作 鵞堂書 彫り
本作は王将、玉将が深彫りでもなく、一見どこにでもあるような鵞堂に見えるかも知れません。しかしわたしはむしろ桂山の柔らかい彫りの個性が全駒に現れている、一目で桂山駒だと分かる作品だと思います。特にこの作の角は書体が違えど現れる柔らかい「桂山の角」がここにもあります。



将棋駒 桂山作 清安書 彫り
桂山の清安、いいですねぇ。桂馬の迫力もお約束通り。桂山はこのような書体では決め事のように王と玉の縦軸を広く深く刻み込みます。桂山流の清安を見せてくれています。



将棋駒 桂山作 巻菱湖書 彫り
これこそ桂山の巻菱湖。巻菱湖というものを一度自分で消化してから制作していると感じさせます。本作は漆は薄めですが、だんびろの駒形に鋭いけれど侘びた彫り、これこそ桂山です。 また、玉将の玉の第四画のイリなどは駒全体のスピード感を和らげていますね。



将棋駒 桂山作 菱湖書 彫り
さて、問題の菱湖書。今まで見てきたような桂山の特徴が現れていないようです。しかし今回、桂山ギャラリー開設にあわせ本作を詳細に分析し再考した結果、これも桂山と見ることにしました。桂山に固有と思われる特徴を本作の中に発見しました。その特徴を「桂山の右軸」と名付けたのですが、その内容は、桂山愛好の同志から非公開にという提案を受け当面は公開しないことにしました。でも名称から想像がつきそうですね。これは利き腕から来るものではないかと当初考えましたが、桂山が右利きであったことが確認が出来、利き腕によるものではなく固有の特徴である可能性が高まりました。ちなみに、秀峰作、淘水作、雅峰作は左軸です。さて本作ですが、桂山作としては異例の彫りですが、各所のイリには桂山らしき特徴を見せています。



将棋駒 桂山作 蜀紅 彫り
かなり魅力的な作にお見受けします。しかし残念ながら写真が引きすぎていて詳細に観ることができません。それでも拝見しますと、本家蜀紅とはかなり異なる味わいの作となっています。本家のほうが品がよくさっぱりした印象です。しかし本作は前出の竜司よりも桂山の意欲作であるように思います。桂山はこれだけのオリジナルな個性を持っているのです。少しお腹が一杯になりますが、こいつは凄い代物だと思います。機会があればもう少し寄りの写真を拝見したいです。



将棋駒 桂山作 恒圓書 彫り
本作、恒圓書は大変めずらしい書体です。名前の由来は桂山の本名、常丸から「恒(=常)圓(=丸)」という具合に来ています。つまり桂山のオリジナル書体というわけです。この作もお腹が一杯になるタイプですが、その個性と面白さは認めざるを得ません。駒史に残る貴重な作と存じます。アマチュアの皆さんどうでしょう。こんな面白い書体を作ってみたくはありませんか?



将棋駒 桂山作 源兵衛清安書 彫り
だんびろの駒形にひょろっとした源兵衛清安。一目で桂山作と分かる作品です。使い込まれていますねぁ、いいですねぇこの味わい。



将棋駒 桂山作 源兵衛清安書 彫り
本作は桂山に木地と字母紙を持ち込み直接依頼したとのことです。面白いですね。字母紙を持ち込めばそれに忠実に作っているわけです。桂山の特徴を捉えるのは少し難しいですね。それでも、この作も「桂山の右軸」を満たしています。



将棋駒 桂山作 関根名人書 彫り
本作は実見しましたが、わたしから見ると前出の菱湖書と同様、桂山を捉えるのが難しい作と感じます。しかしここにも「桂山の右軸」は現れています。だから面白いのですね。そうですかこれは桂山なのですか。だから桂山は懐が深い!といえるのです。本作は木地がいい。めずらしい厚めの駒形。一部の滲みが気になりますが、使用する駒としてなかなか魅力的です。



淇洲書
桂山作淇洲書
桂山による淇洲です。本作はシンプルな淇洲本来の良さが出ているように思います。飽きることなく生涯使える作。銘駒図鑑会員の水夢さんの所蔵駒。撮影も水夢さんです。ありがとうございました。


 

銘駒図鑑
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