四大駒銘(四大書体)は、錦旗、水無瀬、巻菱糊、源兵衛清安とされており、これには異論は少ないものと思いますが、ベスト10を考えた場合、何を基準にするか、また人によって異なった見解が予想されます

そこでここでは、わたしの独断と偏見で次世代に残したいベスト10ともいうべき「駒銘十傑」を選定しました。ただし、これが今後も絶対ではありません 。駒銘はわたしが知るだけでも 50種類以上存在します。今後、皆様のご意見に耳を傾け修正し、完成度を上げる所存です
 

ここに載せた10種類以外にも大変魅力的な駒銘がたくさんあり、あなたの駒銘十傑をぜひお教えいただきたく存じます。「駒銘人気投票」のページからあなたの十傑を投票できます

駒銘十傑に関するご意見、ご感想などはメールでお知らせください。また、変わった駒銘(書体)の駒をお持ちの方は玉将の写真だけで結構ですので、同じくメールにてお送りいただけましたら幸いです

下の駒銘の順番は、わたしの好きな順というわけではありません。 (コメントにはかなり主観的なことも書いています。お許しください)


駒銘図鑑

駒銘十傑
 
駒銘人気投票

駒銘人気集計 (準備中)


将棋駒 錦旗
錦旗
きんき
  後水尾天皇の銘をもとに豊島龍山が開発した書体です

駒作りの世界では「錦旗に始まり錦旗に終わる」といわれるほど基本でありながら奥の深い書体です。水無瀬との比較が面白いです
  将棋駒 水無瀬水無瀬
みなせ
  16世紀末に作られた水無瀬兼成による漆書きの駒がルーツとされています

宮松影水作が最高のあじを出しているように思います。この駒銘はわたしの最も好きな書体の一つです
       

 

   
将棋駒 巻菱湖
巻菱湖
まきりょうこ
  江戸時代の書家「巻菱湖」の書をもとに大正時代になってから豊島龍山の作った駒が始まりです。何といっても影水流の巻菱湖が最高に思います

最も人気のある駒銘で、中原永世十段の好きな書体としても有名です。わたしも大変惹かれる書体です
  将棋駒 源兵衛清安
源兵衛清安
げんべいきよやす
  江戸時代から伝わる銘です。詳細は分かっていません。

宮松影水と木村文俊はなぜかこの駒銘を「清安」としています。源兵衛清安書は金井静山作が最高に思います
             
将棋駒 清安
清安
きよやす
  江戸時代から伝わる駒銘です。太字の清安とも呼ばれ、これに対し源兵衛清安を細字の清安とも呼びます

濃いあじの書体ですが、源兵衛清安より人気があるらしいようです
  将棋駒 宗歩好
宗歩好
そうふごのみ
  この駒銘は日本将棋連盟所蔵の「名人駒」の書体として有名です。奥野一香により開発されました

奥野一香作の宗歩好みは素晴らしいです。(現物を見たことはありません。一度手にしてみたいものです)
             
将棋駒 清定
清定
きよさだ
  江戸時代から伝わる銘です。詳細は分かっていません

十傑として選ぶのは他にも候補があり微妙ですが、わたしとしては捨てがたいものがあります
  将棋駒 淇洲
淇洲
きしゅう
  「竹内淇洲」の書がもととされています。山形県酒田で活躍した人で文武両道に優れていました

個人的にはそれほど興味はありませんが、名書であることに違いはないと思います
             
将棋駒 鵞堂
鵞堂
がどう
  明治時代の書家で平仮名の大家「小野鵞堂」の書がもとになっており、表は行書に近く、裏は草書です

なぜかこの書体は捨てられません。清安の次に 鵞堂と長録が頭に浮かびました
  将棋駒 長録
長録
ちょうろく
  東京上野池ノ端の薬店「宝丹(ほうたん)」主人「守田長禄」の書がもとになったとされています。そのため駒銘も長禄とされる場合もあります

個性的な書です。たっぷりの漆で盛り上げた長録は強烈な魅力です



十傑選定についてですが、宗歩好のベースと思われる安清を選ばず宗歩好を選んだのはより優れた書体として確立されたと判断しているためです。また、名人戦の歴史の中で用いられてきたまさしく名人駒の書体を外すわけにはいきません。第55期名人戦において十七世名人 谷川浩司誕生の瞬間にもこの駒は盤上にありました

鵞堂、董仙と三邨は共に比較的中央に駒字が集中するタイプであり、いわば空間美を備える書体ですが、鵞堂を選んでいます。 記号的な駒字を持つ駒銘も存在し、それらも大変面白く魅力的ですが、十傑としては選んでおりません

長録は盛り上げ駒の魅力を漆の盛り上げによって最高に引き出すことのできる書体と考えており選びました。清定は古くから伝わる書体でありそのような中にあり、十傑の他の駒銘にはまったくないあじを備えるため選んでおります

なぜ十傑などを考えたのか。わたしは書体に関して意外と保守的です。将棋の駒には数多くの書体があってそれも魅力の一つであり、特殊な書体も嫌いなわけではありません。しかしそれ以前に一つの書体(特に伝統のある)を十分に追求したいという気持ちが勝ります

豊島龍山が開発し、宮松影水と金井静山のそれぞれによって完成されていった駒の伝統美の素晴らしさ、このレベルを捕捉しさらにそれぞれの駒師の方の個性を加えて発展させる。当然のような方法論ですが、必ずしもそのようにはなっていません

わたしの基本として他を否定しません。(自分の信じる考え以外の考えを否定しません) 駒作り、駒の趣味、好みにも多様性は当然です。上の10種類以外の書体は駒にあらずとは間違ってもいいませんが、まず基本を理解したいものです。そして、後世にも残したい駒銘を考えることは、その基本を見つめ直す有力な方法ではないでしょうか



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